気象障害、環境心身医学②

2025/09/10

気象障害、環境心身医学②

前回の続きになります。天気にまつわる内容や、季節・気候的に注意を要する内容について書いていきますのでお付き合いください。

・熱中症

熱中症は、熱中り(ねつあたり)とかいてまあいいかえれば熱中毒です。

 大まかに3つのパターンがあります。

 1つは脱水症で熱疲労という場合です。

 基本的に人は体液量が減ると腎臓から水分を再吸収するホルモンなどを放出して対応しますが間に合わないと渇きを感じて体内で引水行動を促します。

 逆に言うと、のどが渇いたときはすでに体の内部では水不足を起こしているので、のどの渇きにかかわらず定期的な補液、補水などが推奨されます。

 2つ目は熱けいれんで、暑い中、汗などで体液を失っている時に水ばかり飲んでいると低ナトリウム血症を起こします。
これは体内の電解質(ナトリウムやカリウム等)のバランスが崩れることに由来します。
糖分の多いスポーツドリンク系も多いので、電解質の補充の為にと飲みすぎると別の心配事が出てきますので、スポーツドリンク系と、ただの水をバランスよく飲むのが良いですね。

 低ナトリウム血症はひどいと脳浮腫からの脳ヘルニアを起こしますしそこまでいかなくてもだるい、けいれんなど起こすことがありますので注意したほうがよいでしょう。

 そういうわけで水だけでなく塩分、糖分補給も必要です。

 暑い中にずっといると脳の温度調整中枢がくるってしまって熱射病というのになることがあります。

 温度コントロールできず体温が高温の状態になりっぱなしとなり、残念ながら亡くなられることがありますので暑い中での作業には注意しましょう。

 ちなみに気温だけを目安にしない方がいいです。
天気予報の気温だけだと特殊な環境で測るようになっているので実際の身の回りの空気温とは違います。
特に都心などではヒートアイランド現象も大変よく見られ、熱せられたアスファルト、コンクリート、鉄材などが肌温度を上げます。

 それに輻射や直射日光を浴びると肌温度より実際の体表温度の方が高くなります。

 また湿度が高いと汗が乾かないので気化熱によるクーリング効果が発揮されません。

 同じように呼吸によるクーリング効果も発揮されずに場合によっては深部体温より高い吸気温度によって体の内側から熱せられる場合もあります。

外気温の高さが想定される場合や、少し遠出をする、汗が出るようなアクティビティに臨む場合は、水分の補給・塩分、糖分の補給・日陰で定期的に体温を下げる等が大変大切です。
昨今では、ペルチェ素子の入った冷たい風を送ってくれるハンディ扇風機や着るクーラーと呼ばれるようなバッテリー内臓の冷風機服なるものも登場しています。

命に係わるような事象から、快適に過ごせるような事象までを含んだものが「温度」によって発生します。

・その他

ご存じの通り、睡眠なども気象の影響を受けます。

 主に温度、湿度、光が関係します。

 布団業界では昔から3350と言って布団の中は33度で50%の湿度が寝やすいみたいなのがありました。

 実際には睡眠はノンレム睡眠とレム睡眠のサイクルですが寝付くときには深部体温を下げるために体表温度が上がったりする周期があり周期に従って温度も変わるといいのかもしれませんがなかなか難しいのでしょう。

 スマートウォッチやエアコンやその他のテクノロジーが進歩するともっと寝やすい世の中が来るかもしれません。

 日照量や光と睡眠の研究は昔から知られていて光は身体のリズムや睡眠覚醒の周期などに影響を与えます。

 真夏や真冬などの気温や日照量などの増加、減少の極期に問題になることが多く、良眠のための補助が必要になります。

 基本的に今の医学ではよく寝れるのが正義です。
精神科では特にそれが強いです。

 寝不足は心身の不健康の元で、過眠過ぎると問題はあるかもしれませんが寝れるのは基本いいことです。良眠を心がけましょう。


執筆時点2025年9月はまだ暑い日が続いております。
当院にお越しになられる際は駅から徒歩30秒~1分程度でありますが、外気に触れますので対策をして、お気をつけてお越しください。

今回はここまでといたします。
またよろしくお願いいたします。