双極性障害(躁うつ病)とは
そう状態(元気すぎる)とうつ状態(元気がなさすぎる)がくり返す病気です。
症状のあらわれ方や経過は、お一人おひとり異なった症状が現れます。
双極性障害は気分が高まったり落ち込んだり、躁状態とうつ状態を繰り返す脳の病気です。
激しい躁状態とうつ状態のある双極Ⅰ型と、軽い躁状態(軽躁状態)とうつ状態のある双極Ⅱ型があります。
躁状態では、気分が高ぶって誰かれかまわず話しかけたり、まったく眠らずに動き回ったりと、活動的になります。
ギャンブルに全財産をつぎ込んだり、高額のローンを組んで買い物をしたり、上司と大ゲンカして辞表を叩きつけたりするような社会的信用や財産、職を失ったりする激しい状態になることもあります。
一方、いつもよりも妙に活動的で周りの人から「何だかあの人らしくない」「元気すぎる」と思われるような軽い状態は、軽躁状態と呼ばれます。
一方、うつ状態では、一日中ゆううつな気分で、眠れなくなったり、または逆に眠りすぎたりします。大好きだった趣味やテレビ番組にも関心がなくなったり、食欲が低下し、おっくうで身体を動かすことができないといった症状もみられます。
ここが違う!双極性障害(躁うつ病)とうつ病の違い
双極性障害は、一般的には「躁うつ病」という名前で知られており、両者はまったく違う病気で治療薬も異なります。
うつ病は単極性うつ病ともいい、気分が落ち込んだり、やる気がなくなったり、眠れなくなったりといったうつ症状だけがみられますが、双極性障害はうつ状態と躁状態または軽躁状態を繰り返す病気です。
多くの双極性障害をもつ方は、ほとんどの方がうつ状態で受診されますが、その後、躁状態を発症してはじめて双極性障害と診断されます。
処方される薬も異なります。
うつ病の主な治療薬は、抗うつ薬ですが、双極性障害では気分安定薬と抗精神病薬が使われます。
双極性障害(躁うつ病)について
双極性障害は、躁うつ病とも呼ばれる病気で、躁病相とうつ病相の両方の症状を繰り返す病気です。
躁病相の症状としては、睡眠時間が減って夜中の行動が多くなる、次々とアイデアが浮かぶ、爽快感や幸せな気持ちになる、カード等で高額な買い物をしてしまう、自尊心が大きくなる、誇大妄想が見られるなど感情の高揚を中心として、思考・意欲・行動の各面において抑制が効かない状態となります。
これに対し、うつ病相での症状は基本的にうつ病と同じ症状を呈します。
感情の起伏は誰にでもあり、幸せな感じがする時もあれば悲しい気分の時もあるのはごく自然なことです。
嫌なことがあった時に落ち込んだり、楽しいことがあった時にウキウキしたりするのは当たり前で、病気ではありません。
しかし、周囲の方々が「ちょっとおかしいのでは?」と感じる程に気分の波が大きく、そのために迷惑を被ったり、ご本人が社会的信用を失うようなことがあれば、それは双極性障害かもしれません。
また、うつ病ではないかと思いながらも、極端に調子が良くなって活発になる時期がある場合は、双極性障害(躁うつ病)を疑う必要が考えられます。
加えて、うつ病と診断され治療を受けているにも関わらず、なかなか回復に向かわないような場合にも、一度診断を見直す必要があります。
当てはまる症状がある方や、他院様で受けているうつ病の治療が功を奏していないと感じている方は、 一度当院へご相談にお越し頂ければと思います。
尚、躁とうつの繰り返しを治療せずに放置していると、だんだん再発の周期が短くなっていきます。
躁状態ではご本人の気分が良いため治療を受ける気にならないことが多いのですが、そこに周囲の方々が気づいて早めに治療を開始することが望ましいと言えます。
双極性障害(躁うつ病)の症状
そう状態のとき
色々なことをしたくなる、何でもできる気がする、計画せずに行動してしまう
買い物をし過ぎる
イライラ、カリカリと怒りっぽくなる など
「そう」の状態は、陽気になるイメージがあるかもしれませんが、実際は、イライラしている状態や怒りっぽいヒステリックさがでてくることが多いです。
「そう」の状態は、周囲の方から見ていても、病気の症状だとわかりにくく、ご自身でも気づかないことも多くあります。症状が悪化すると仕事や対人関係のトラブル、借金など、社会的な問題になる場合があります。
周囲の方が、それほど困らない程度のそう状態は、「軽そう状態」といいます。
うつ状態のとき
話したり、笑ったりできない、考えることができない
眠れない、食事が欲しくない
身体の調子が悪い
動けない、家のことができない、仕事に行けない
イライラしたり、常に不安な状態
うつ症状がひどくなると、身のまわりのこともできなくなり、人をさけ、引きこもる場合もあります。 思うようにできない自分を責め「死んでしまいたい」「消えてしまいたい」と感じじてしまう場合があります。
双極性障害の症状の経過
躁うつ病の症状が、「うつ状態」から始まった場合、すぐに躁うつ病かどうかの判断が難しい場合がしばしばあります。そのため、診療の途中で、「うつ病」→「躁うつ病」へと病名が変更されることも珍しくありません。
「そう状態」に気づかれずに「うつ病」として治療されていることもあります。 症状の波が「うつ⇔そう」の状態を繰り返す病気で、生活の工夫をし、ゆっくりとつきあうことが必要な慢性疾患です。
双極性障害の種類
双極性障害には「双極Ⅰ型」と「双極Ⅱ型」があります。 以下の図を見ていただくとII型の軽躁状態はI型の躁状態に比べて、症状が軽く、社会的な問題も少ないので、双極II型障害は双極I型障害よりも軽い病気だと思われがちですが、そうではありません。
II型はI型に比べてコントロールしにくく、うつ状態を再発しやすいといわれています。どちらもなるべく早く治療を開始することが大切です。
双極性障害(躁うつ病)の治療
治療せずに放置すると、多くの方は再発されています。
双極性障害は、予防療法を行わなければ、ほとんどの場合が再発する病気といわれており、再発を何回も繰り返すうちに、人間関係を含めた日常生活の様々なことに支障をきたしてきますが、早期に適切な治療を開始することでご自身が楽な生活に戻れます。
また、双極性障害(躁うつ病)は、再発を繰り返す度に、次の発症までの期間が短くなり、度重なる再発は、急速交代化(ラピッドサイクリング)を誘発する恐れがあります。この状態までに重症化してきますと予防療法の効果が現れにくくなり、調子のよい時期(寛解期)がほとんどなくなる可能性が高いです。
躁状態とうつ状態が混じって現れる混合状態では、「消えてしまいたい」という気持ちが強くなる上、行動的にもなるため、周囲の方は、最悪の事態も視野に入れ注意されることが必要となります。
双極性障害治療の5つのpoint
ご自身や周囲の方が病気を正しく理解することが大切です。
①病気を受け入れ、再発予防のために薬の服用を継続しましょう
双極性障害の方ご本人は、躁状態を軽く考え、周囲の方は、うつ状態を軽く考えがちです。病気を正しく理解し、服薬を継続しましょう。
②薬の作用と副作用について正しく理解しましょう
薬による作用・副作用を理解することが必要です。服薬を継続するためにも、主治医とよく相談しながら自分にあった薬を選択しましょう。
③完璧主義をやめましょう
双極性障害は、躁状態とうつ状態、症状の出ていない寛解期を繰り返す病気です。躁状態がこの病気の特徴ですが、実際には、うつ状態とどう向き合い、対処するかが大変重要です。認知療法をとりいれ服薬も継続し、ゆっくり休息をとりましょう。また、生活のリズムを整えることも大切です。
④発症した時の状況を振り返ってみましょう。
発症の原因となったことを覚えておきましょう。 双極性障害治療でもっとも重要なのは再発を予防することです。 双極性障害を発症する原因となったストレスを周囲の方にも相談して振り返ってみましょう。(例:仕事が急に忙しくなった。親しい人が亡くなった。ご自身や子さんの結婚式があった。海外旅行に行った。引っ越した。など)
⑤再発の初期徴候を振り返ってみましょう。
再発のサインが分かることで医師へ早期受診が可能になります。よって重症化せずに済みます。 双極性障害を再発する際の初期徴候は、人によって様々です。周囲の方と相談しながらご自身の「再発のサイン」はどんなものかを振り返ってみましょう。
再発サインが現れたら、早めにご受診しましょう。ご自身をコントロールすることができるようになります。 (例:睡眠時間が短くなってきた。買い物をたくさんした。おしゃべりになってきた。SNS投稿が頻繁になった。など)