「眠れない」を放置しないでください
質の良い睡眠は、健康的な生活に欠かせないものです。不眠症の自覚症状がある方でも約7割の方が「医師に相談したことはない」という結果がでており、不眠症の方は、積極的に受診されていないようです。
しかし、正常な睡眠がとれない状態が続くと他の病気を併発する可能性があります。「最近あまりよく眠れないな」と感じたら、早めにご相談にいらしてください。
不眠症チェックシート
以下の症状が5つ以上、当てはまったら当院にご相談ください。
不眠症について
睡眠の障害には様々なものがあり、不眠症もその中の一つです。不眠症は様々な原因で睡眠の時間の短縮や睡眠の質の低下により、生活に支障をきたす状態をいいます。「寝つきが悪い」「眠っても何度も目がさめる」「熟睡できない」などの訴えがあり、慢性化している不眠症の方は、昨今、増加傾向にあります。
一般に年を取ると睡眠時間が短くなったり睡眠の時間が変わったりします。また床に就いている時間と実際に眠っている時間は異なり、そのずれが苦痛をもたらします。そのように睡眠には様々な要素があり、個人差もあるため、7時間以上眠っているにも関わらず「眠れない」と感じる方もいれば、3~4時間の睡眠でも平気な方もいます。
そのため、客観的に何時間眠っていようと、ご本人が安眠・快眠できないと自覚する状態が継続する場合を不眠症と判断するケースが多いです。不眠症などの睡眠障害は様々な原因で引き起こされ、原因によっては大学病院などの専門性の高い医療機関での治療が必要になる場合もあります。
「環境要因」「生理的要因」「心理的な問題」「器質的疾患」「精神疾患」など、さまざまな原因がありますが、最近になって不眠症を訴える方が多くなっている理由は、現代の生活習慣やストレス社会にあるようです。一般的に不眠症の改善策としては、起床時間を固定して光を浴びたり日中の適度な運動や就眠前数時間前のぬるま湯入浴や牛乳の飲用等が有名です。
また、一般内科で睡眠薬をもらっている人も多いと思われます。しかし、不眠症の治療は、心療内科や精神科で多く行われています。不眠症の治療には、睡眠薬など様々な薬剤を使う治療とともに睡眠衛生に関する知識と指導が重要になります。まずはお気軽にご相談下さい。
不眠症と他の病気の関係
身体疾患・精神疾患や薬物の影響が原因で不眠の症状が起こることもあります。また、不眠症がさまざまな健康障害につながることもあります。例えば、不眠症状が長く続くことにより、うつ病になるリスクが高くなるという研究報告があります。また、不眠は高血圧や糖尿病などの生活習慣病をはじめとしたさまざまな疾患と関連しているという報告があります。
不眠症の症状
不眠の症状は、大きく4つのタイプにわけられます。1つのタイプに当てはまるだけのこともあれば、複数のタイプを伴っている場合も多くあります。 不眠のタイプにより対処法や治療方法が異なるので、まずは、ご自身の不眠の症状がどのタイプなのか知ることが大切です。
入眠障害 (なかなか寝つけない) | 床に入って寝つくまでに、30分~1時間以上かかるタイプ。 精神的な問題、不安や緊張が強いときなどにおこりやすいといわれています。 |
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中途覚醒 (夜中によく目が覚める) | 睡眠中に何度も目が覚めたり、一度起きたあとなかなか寝つけなくなるタイプ。 日本の成人の方では、不眠の訴えの中で最も多く(15~27%)、中高年でより頻度が高いといわれています。 |
早朝覚醒 (朝早く目が覚める) | 朝、予定時間より2時間以上前に目が覚めてしまい、その後眠れなくなってしまうタイプ。 高齢者に多くみられます。 |
熟眠障害 (ぐっすり眠った気がしない) | 睡眠時間を十分にとったのに、熟眠感が得られないタイプ。 ほかのタイプの不眠症を伴っている場合も多くあります。 |
3人に1人が感じている不眠の症状
不眠症は、「眠れない」という夜間の苦痛だけでなく、日中の眠気や、だるさ、集中困難など、心と身体にさまざまな影響を及ぼします。不眠の訴えをもつ人は年々増加していいて日本人成人の3人に1人が何らかの不眠の症状を感じていると報告されています。
不眠症の原因
なぜ不眠になるのでしょうか 不眠の原因は多岐にわたりますが、その一つとして考えられるのが、「睡眠」と「覚醒」のバランスの乱れにあります。眠りたい時に、何らかの理由で体を「覚醒」させる機能が、「睡眠」を誘う機能よりも上回ってしまっていることが考えられます。
医師からのメッセージ
深夜に床に就いても眠れず、苦痛を感じる方は多いと思います。現在、不眠症は社会問題となっており、厚生労働省が睡眠の大切さと必要性を示すために「健康づくりのための睡眠指針2014」を発表しているほどです。
また、睡眠障害は個人的な問題であると考えられがちですが、現代のストレスフルな社会環境が影響因子になっていたり、深夜労働や不規則勤務などの労働環境が因子になっていたりする場合が多いです。そのため健康的な睡眠を取るためには、まずは、ご自身がいらっしゃる環境について改善を図っていくことが大切です。
もし、ご自身の就労環境により症状が悪化していると認められる際には、私たちが「休職のための診断書」を発行することが出来ます。そうすることで、仕事をお休みして自宅で療養に専念することが出来ます。今まで私たちが診てきた多くの方々は、一時的に仕事を離れることで症状が改善していきました。
もちろん職場によっては休職中に給与の支払いがない場合もあり、生活に困ると考える方もいらっしゃいますが、実は傷病手当金という制度を利用することで給与の約6割を受け取れる場合が多いです。
もし、眠れずに、お辛い時には、ひとりで悩まずに誰かに相談してください。私たちは診療のみでなく診断書の発行も行っております。私たちは、悩みや葛藤があり苦しんでいらっしゃる方が健康を取り戻せることを心より願いサポートさせて頂いております。