漢方診療について
現代の心の病気、心と体についての東洋医学の考え方
心と体の問題は、主観と客観の問題とともに、近代西洋思想では大きなテーマと したが、現代では陰陽論や仏教哲学など、東洋思想からも多くの影響を受けながら、現代の医学・生理学から認知科学、現代思想など多くの分野で新しい視点からとらえられるようになっています。
精神的ストレスは悩みや不安、憂鬱などの心の苦しみを引き起こしますが、同時に自律神経の異常や筋肉の過緊張によるこりなどにより、体に症状を起こします。 また逆に自律神経や筋肉の異常による身体の問題が精神に影響を与えるなど、心と体は複雑に関わりあっています。
ストレスによって起こる、朝起きるのが辛い、体が重い、頭が痛い、眠れない、悪夢を見る、汗をかく、胃腸の痛み、吐き気、動悸、胸の苦しさなどの症状は、それらの心身の相互作用により悪化していきます。
主観的な心の問題が、体の言葉を通して表現されるなど、我々の感性や認識などの心の在り方には、必ずしも心と体の問題を分けて考えることができないような仕組みもあります。
うつでは、気持ち悪くなり、頭や体が重く動けなくなるのは心と体の両方の症状であり、体の状態を表現する言葉を使って我々は心の状態を表現することもあります。
東洋の思想や医学では、このような心と体の問題を考えるため、陰陽論や五行論などの思想が作られてきました。 そして心と体を異なるものと見るだけではなく、一つのものとしてとらえ、対処する歴史の中から、伝統的に多くの技術が作られてきました。
東洋医学では、近代医学で身体不定愁訴と言われて検査では異常が見つからず、診断できなかった症状を合理的に説明することができ、治療のための方法も考えられています。 また精神的な問題が落ち着いても、長引くことの多い身体の症状に対して、漢方薬や鍼灸などを用いて対処することができます。
当院では、西洋医学の診断と治療とともに、東洋医学の考え方を紹介し、治療に生かしていきます。 ご不明点などは、医師に遠慮なくご相談ください。
心療内科・精神科での漢方診療について
心療内科や精神科というと一般的に敷居が高く感じられる方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。また、内科なのか精神科の方がよいのかよくわからないという方もいらっしゃるようです。
当院では、ご相談にいらっしゃる方の症状によっては、漢方での処方をご提案している場合もございます。 漢方薬が適応される疾患としては神経症・心身症における自律神経障害症状で、この症状のほとんどが心因性(ストレス)が原因で起こります。
以下の様な、主に過緊張に伴う症状に適しています。
①過緊張に伴う症状【例】
- 頭重感
- 肩や首のこり
- 動悸
- めまい
- 腹部の違和感
- 消化不良
- 下痢
- 便秘
②①が慢性化して長期化した症状
- 食欲の低下
- 不眠
- 焦燥
- 集中力の低下
これらの症状は、漢方薬治療で改善される方が多くいらっしゃいます。あるいは、漢方薬単独での治療ではなく、向精神薬を併用した方がよい場合もありますので、医師がご相談者に適した治療法を提案します。