身体表現性障害

身体表現性障害とは

「痛み」「病気になりそう」「身体に力が入らない」「歩けない」など症状があるにも関わらず、検査結果で何の異常もでない状態のこと

心身の疲労や環境変化などのストレスが何らかの形でかかわっているといわれていますが、必ずしもストレスが原因とは言い切れません。また実際に脳の中で何が生じているのかは、明確には解明されていません。

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身体表現性障害の3つの代表的な症状

「身体症状症および関連症群」に分類される病気にもいくつかの種類があります。そのうち3つの代表的な症状があります。

身体症状症 (疼痛性障害)

痛みや胃腸症状などのさまざまな身体症状が続くが、適切な診察、検査を行っても身体的な病気や薬による影響としては十分に説明できない、という病状です。 主な症状として痛みを訴える場合を、「疼痛性障害」と言われていた症状です。

病気不安症 (心気症)

訴える主な症状として、重い病気である、病気にかかりそうだという気持ちが非常に強くなります。 実際には、病気が存在しないか、あるいは存在したとしてもごく軽度で、気持ちの状態と実際の身体的な状態とに大きなギャップが生じます。 「心気症」言われていた症状です

変換性/転換性障害 (機能性神経症状症)

力が入らない(脱力・麻痺)、筋肉の強い突っ張り、歩けない、などといった運動に関する症状や、皮膚の感覚がおかしい、見えない(一部しか見えない)、聞こえない(聞こえにくい)、といった感覚の症状が出ます。他にも全身の筋肉がけいれんするてんかん発作のような症状が出現したり、意識を失ったかのような症状を生じたりすることもあります。あるいは、声が出ない、のどの中に何かの塊があるという感覚(ヒステリー球、と呼ばれます)もしばしばみられる症状です。


身体表現性障害について

過去に神経症と呼ばれたものは、現代では様々な疾患名で呼ばれることがありますが、身体表現性障害もその一つです。神経症とは、過去には不思議な病気、神経に異常がないのに神経に異常があるような症状を起こす病気、心理的な原因で起こる病気など様々な見方で考えられてきました。

身体表現性障害は身体や神経に異常がないのに、様々な身体症状や疼痛、神経症状、病気や健康に関する不安に苦しむ状態で、身体化障害、疼痛性障害、転換性障害、心気症など様々な障害に分類されています。

身体表現性障害の方は、自分の健康に不安があり、内科や外科など、様々な科を受診することが多いですが、どの科でも異常は見られず、精神的な問題とされて精神科に紹介されてくることが多く見られます。

心理社会的要因、心身の過労(例えば親の介護疲れや過度の残業など)や、身辺の環境変化(例えば職場異動や引越、近親者との死別など)が、不安やストレスの要因になっているにも関わらずそれを認識や言語化できない方の場合に身体症状として表れるという説明の仕方が過去には精神分析学などでなされていました。

身体表現性障害の治療は、その人がどんな問題を抱えているのかに留意しながら、丁寧に身体的健康に関する気がかりをうかがい、ストレスの原因となっている家庭や職場などの環境の調整や、ストレス対処法を身につけていくことを目指します。不安感や抑うつ感に苦しんでいることが多く、また様々な精神障害がしばしば同時に、多面的な治療のアプローチが必要になることが多くあります。


身体表現性障害診断する方法

患者さんの訴える身体症状を引き起こすような「身体的な病気が存在しないことが診断の大前提」となります。内科や整形外科など、患者さんが困っている症状を通常担当する科で検査を受けていただき、本当に症状の元となるような病気がないことを確認します。

身体的な疾患がないことが確認できたにも関わらず、さまざまな身体症状が持続するとき初めて身体表現性障害と診断されます。 身体症状症では、患者さん自身は紛れもなくその身体症状による苦痛を感じており、詐病や仮病とは異なりますので、周囲の理解が必要です。

他に、うつ病や不安症などほかの精神疾患が合併することもあります。

身体表現性障害症状の診断基準

  • 2年以上に及ぶ多彩かつ易変的な身体症状の訴えが存在し、それを説明しうる身体的な障害が見いだされないこと(身体的な障害の存在がはっきりしていても、症状の強さ・範囲・多様さ・持続、または症状に伴う社会的な機能障害を説明しえない)。もし症状の中に自律神経刺激によることが明白なものであったとしても、特に持続性でも苦痛を伴うものでもなければこの障害の主症状とはならない。
  • 症状へのこだわりは長く続く苦痛によってもたらされ、相談あるいは通常の検査を求めてプライマリーケア医や専門医を(3回以上)繰り返し受診する。患者が、経済的あるいは物理的に手の届く範囲内で医療サービスが得られない場合には、持続的に自分で薬を飲んだり地域の祈祷師を何度も訪れたりしていること。
  • 身体症状を説明するだけの身体的原因がないという医療者側の説明を、医学的検索の直後または数週間という短期間を除いては頑固に拒否すること(そうした際保障の短期間、つまり検査中あるいは検査直後の2~3週間だけ説明を受け入れるような場合はこの診断を付してよい)。
  • 次にあげる項目の内、別々の2系統以上の症状群から、遭わせて6症状以上認めること。
    消化器症状
    腹痛
    悪心
    膨満感やガス充満感
    口腔内違和感、舌苔の肥厚
    嘔吐または食物の逆流の訴え
    腸蠕動亢進と低下または下痢の訴え
    循環器症状
    安静時の息切れ
    胸痛
    泌尿器症状
    排尿困難または頻尿の訴え
    生殖器内またはその周囲の不快感
    膣分泌の異常または増加の訴え
    皮膚と疼痛症状
    皮膚のしみや変色の訴え
    手足・上下肢・関節の痛み
    不快な痺れやひりひりする感覚
  • 主な除外基準:統合失調症とその関連障害、気分(感情)障害、あるいはパニック障害の罹病期間中だけに起こっているものではない。

※病気不安症や変換性/転換性障害についても、それぞれ診断基準が設けられています。患者様ご自身や周囲の方で心当たりがあると感じられたら、一度、ご受診しませんか。当院は、患者様に今の苦しみから解放されるきっかけとなりたいと思っています。


身体表現性障害の治療

身体表現性障害はどうしたら治るのでしょう

まずは、身体表現性障害を持ってらっしゃる方ご自身が、身体的な問題はないということをきちんと理解し、納得することが大切です。但し、患者様ご自身は辛い症状のため、身体的に問題はないということを受け入れにくいことが多いです。

しかし、身体的な精査や、検査結果に基づかない治療を繰り返しても症状は改善しませんし、症状に苦しむ時間が長引いてしまいます。 症状が比較的軽いときには、なるべく普段通りの日常生活を送ることが大切です。 薬物療法、認知行動療法、精神療法を併用して治療します。